2014年1月26日日曜日

『目標管理の教科書』だ



この書籍において、既存の目標管理では、MBO-Sという「S」の部分、つまり、self-controlに関して、あまりにも無視されていると述べられている。self-controlとは、チャレンジ目標の自己統制を実践することであると。
この部分が知識労働時代のマネジメントの方法論として記されていて、私自身、肚落ちした。MBO-Sは内発的動機付けを重視したマネジメントなのだ。
この書籍を読みながらアジャイルの考え方と同じじゃないかと、幾度も思った。PDSや振り返り、自己組織化、チームでの話し合い、振り返りのパーティ等、チームマネジメントでの方法論は、根本では同じなのだろう。

目標のつくり方、そこでリーダーがすべきこと、「計画」、「実行」、「振り返り」を人と仕組みの両方の面から、順序だって説明している。上長と個人の間で決めるものではなく、チームでワイワイガヤガヤやりながら目標を形成していくことが重要とも書かれている。この過程で当事者意識が芽生えていくわけだ。そして最後の評価もチームで実践することも薦めている。

戦略目標と日銭目標のことまで書かれている。どの企業でも「あるある」のことだろう。
また、達成手段が60−70%見えていることがギリギリの背伸びの状態であり、これを目標するべきだと言っている。100%道筋が見えているものは目指すという意味の目標にはあたらないと言うことだ。

そして、数値目標、定性目標の設定の仕方や不確実性の高い分野での目標の立て方も書いてある。因果関係のない数値目標の過ち、クリエイティブ型の定性目標、具体化の方法など、マネジメント職は、一度、読んでおくと良いだろう。

外発的動機付けと内発的動機付けはコーチング理論であり、色々な書籍ででてくることが書かれている。結局、人に焦点をあてる。人に寄り添う。マズローの欲求が出てきたのは面白い。

各章の最後にある「まとめ」は振り返りのために役に立つ。まぁ、目次を見れば分かるんだけどね。

みんなハッピー

個人の軸と会社の軸があうように、下記図のように右上の枠に合うようになれば、個人もハッピーになり、会社の業績もあがるという構図ができあがる。そのためのMBO-Sであるということなんだなぁ。




日々のフィードバックなど3つのコミュニケーションが必要だと述べられている

  1. 問題創造・問題解決のコミュニケーション
  2. 志のコミュニケーション
  3. 人間関係円滑化のコミュニケーション

自分自身、1番はちょっと足りないな。もっと率先して実践していかなくてはいけない。



『成長とは有能感の獲得』

『気づき』、『達成感』、『フロー体験』が成長の源であり、日々の小さな成功大変が、有能感を得る出発点となると述べられている。そして、

人事評価の難しさの根源的理由は評価の公平性の担保の仕方が人類5000年の叡智をもってしてもいまだ見つからない

なるほど、5000年か! 数年で獲得できるほど甘いスキルではないし、完璧なフレームワークで誰でもが成功するほど簡単なものではないと。日々の小さな成功体験から有能感を得るしかないんだね。


哲学

『黒字浮上!最終指令―出向社長奮斗の記録』がこの著者の背中を押した原点だったと書かれている。欲しいものリストにアップした。今度、読んでみたい。そして、

マネジメントには哲学が必要だ。哲学とは『深い思索と経験から導きだされた”信念”」であり、リーダーに哲学がなければ、言動はブレやすく、人々の信頼も得にくくなるだろう。
一途な思いと愚直さで、自分を信じてマネジメントしていくしか方法はないのだろう。経験し、実践から学び続けるしかないんだ。


引用


難しく見せる技術に長けた人が人事評価で得をして、本当に困難にチャレンジした人が割を食う。人事評価の信頼性も地に落ちる。もしも、そんな状態が続くなら、働く人の心は荒廃し、確実に会社は衰退に向かうだろう。

仕事を進めるプロセスで、当事者と関係者が話し合いながら、試行錯誤的に仕事の質を極限まで追い求める。それが仕事の面白さを誘発し、自律性も醸成する。結果として、会社の業績が向上する。そういう仕事のやり方がMBO-Sが志向するクリエイティブ型目標の理想的な姿である。




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