「アルティメット・アジャイル・ストーリーズ イテレーション3」読了。
アジャイルになることを実践している方々の試行錯誤の生の声があふれている。ヒントの宝庫だ。
それぞれの人が異なった切り口で書いており、どれもこれも、頷いてしまう。
また、アジャイルの原点などを再掲してくれたりするので、「あーそうだよね」って再確認することにも役立つ。
1人の著者によって書かれた書籍とは全く異なる面白さがある。シリーズ3作目だけど、継続ネタの著者もいたりして結構いい。
XP,Scrum,Leanなどアジャイルの形はそれぞれあるけど、それを取り入れただけで上手くいくものではないんだよね。
それを使う人によって、いかようにも変えられる。
野球やテニスなどルールやフィールドはあるけど、良い試合もあれば、最悪の試合もある。
これと同じように、決まり事がシンプルであればあるほど、そこに介入する人によって、柔軟に変えられる。
これは、選手目線(現場)、監督目線(マネジャ)、参加者目線(顧客)、で少しずつ異なるんだろうなぁ。でも最終的な価値を生み出す先に届くように活用していくべきなんだよね。
それぞれの達人が実践している試合、最高に面白い。
そして、ジム・コプリエンさん寄稿のボリュームと内容が圧倒的。
『ム』がここにもある。
日本って結構すごいじゃん。これらが日本人の暗黙の価値観にあるって我々のストロングポイントなんだよね。成果ということよりもこういった特性にもっともっと焦点をあてるには、逆輸入しかないのかなぁ。
各著者の感銘を受けた引用
「ユーザーストーリーマッピングによる期待マネジメント 市谷 聡啓氏」
コストや期間によるスコープ調整に没頭すると、いつの間にか見失っていることがある。なんのためにプロダクトを開発するのか、そのミッションは常に忘れてはいけない。
ユーザーストーリーマップ上で縦と横で表される面積が、プロジェクトでの実現範囲となる。この面積が全体として大きくなりすぎたり、偏りすぎないように、ステークホルダーと一緒になって調整するのが、ユーザーストーリーマッピングを用いた期待マネジメントである。
「関西人スクラムマスターがとあるチームと過ごした日々 中村 洋氏」
割り込みタスクをタスクボードに追加する際に、その優先順位をタスクボード上で表現しました。急ぎであればDoingレーンに近い側に、そうでなければ、遠い側という感じです。優先順位を決めるには、依頼者にそれをやる理由や期待する効果を説明してもらう必要があり、それをスタート地点として...会話が始まります。
...
(一度に変わらなくても)このように一歩一歩工夫して、改善していくことで、より成熟したチームに変わっていくことができます。
「だからリーンソフトウェア開発は難しい 藤原 大氏」
真の問題を解決する
作っているプロダクトに焦点を当てるのではなく、顧客がまさに遭遇している問題に焦点を当てる。
「アジャイルなチームのつくりかた 阿部 智紀さん」
『アジャイルだからこれをやってみよう!』このような言葉はチームの中で一切でてきません。
...目的がアジャイルになるとプラクティスを正しく行うことに注意が向き、結果、ユーザにとってもチームにとっても正しいことを行うことができなくなってしまいます。
「アジャイルの夢を実現する -チケット駆動開発で考慮すべき点 阪井 誠氏」
...マインドはアジャイル開発の重要な要素です。しかし、サーバントリーダーシップや自律的な組織、メンバーの能力を最大限に発揮するという考え方は、従来法での開発となんら矛盾しないものです。また、顧客への価値の提供もビジネスを継続するには、当然必要とされるものです。...アジャイル開発に依存しない、そのようなマインドの実現を目指したものがプロジェクトファシリテーションと言えます。
「チームビルディングで強いアジャイル開発チームへ 関 満徳氏」
チームの中で、メンバーがお互いに刺激し合ったり助け合ったりすることで、メンバーの知識や経験が蓄積され、チームとして強くなり、チームとしての成果つまり相乗効果が発揮できるようになります。
...グループとは特定の目的を達成するために集まった複数の人々、ただそれだけです。...一方チームとはグループの中でも協調を通じて、プラスの相乗効果を生んでいるものを目指します。
チームメンバーの一人ひとりが、チームビルディングを意識し、チームビルディングを続けることが、強いチームを作るためには必要です。
「マネジメントの昇華:数字のマネジメントからの卒業 大野 晋氏」
マネージャから伝えられたのは、『迷ったら変えろ!』という原則だった。マネージャの仕事は変えること!
「マイクロソフトのエバンジェリストがやってきた”アジャイル” 長沢 智治氏」
私は技術で壁を作ってしまうのは開発者にとって機会損失になるという思いをもっている小さな枠にとらわれず開発者のもっているポテンシャルを最大限に発揮してほしいのだ。そこにはきっと『アジャイル』がひとつのテーマになるとも思っている。
著者のリストは下記から見ることができる。
http://ultimateagilestories.web.fc2.com/bookcontents3.html
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