感想
従業員数93,000名、総売上高63億ドルのグローバルIT企業HCLテクノロジーズの改革の話である。http://www.hcljapan.co.jp/company/index.html
こんなにも大規模な会社で、これらのことが実現できるなんてトップの変革者魂はどれだけ広く深いのか想像すらできない。まさしく自分が目指す像がここにある。
この書籍に書かれているフレームワークに合致しないとか、自分たちには当てはまらないとかを直ぐに考えがち。
だけど、試行錯誤の繰り返しのためのツールとして、結果的にこれらが生まれてきたのであって、これらだけを、単に実践しても上手く行く訳がない。文脈もことなれば、制約条件も異なる訳だから。
根本思想を理解して、仲間と信頼関係を作り、やってみて、改善しようとするチームワークとそれぞれのリーダーシップが重要なんだ。それらのヒントがこの本にはある。
印象に残ったセンテンスに感想
「アクセルを踏み、加速するということは、問題の嘘をばらすことができる手段のことである」その問題が出た時点でそれらの問題を解決すれば良い。振り子を最大限に逆に振ることでメンタルモデルの除去を実際にやっているが、この方法も確かにいいね。
「従業員が目標にできるようなビジョンを打ち出すことだった。過去を振り返った時に目に浮かぶ情景よりも、はるかに心を惹き付けてやまないイメージ。心動かされ、これから何が起こるのか興奮してやまないイメージが」臨場感のあるリアルなイメージが大事なんだよね。過去からの延長ではなく、未来をたぐり寄せるってことだよね。前のブログに書いたなこれ。
「何よりもまず、全組織内で信頼を築く方法を見出さなければならない。私を経営者として信頼するだけではない。ある戦略を信頼するだけでもない。お互いを信頼できることが必要だった。信憑性、信頼性、親密さ、自己志向性」これは、ここ最近気付いたことと同じだ。どんな方法論を試したところで、信頼関係やチームビルディングができていない関係性では、何をやっても空回りに終わる。奇跡的に結果が伴えば、徐徐に変わるだろうが、まず大事なのはお互いの信頼関係なんだよね。これができればどんなプロセスや手段でも、ポジティブスパイラルに自分たちで改善することができるから。
「お客様を軽んじることではありません。当社の優れた人材の能力を引き出すことです。彼らがみなさんの課題に身を投じ、それを実現する者、推進する者となることです。」これは、アジャイルのビジネス価値を最大にするというところに通じる。ポッペンディークのリーン三部作に出てくるサウスウェストやP&Gの事例と同じなんだよね。成功する企業が気付いていること。
「従来の観念をはるかに超えるほど、透明性を推し進めなければ、信頼性は生まれてこない」メンタルモデルを打破するためには、難しい。自律神経がノイズキャンセレーションを発揮してしまう。「はるか」ってのは、自分の想像する以上のことを実施しなければならない。
「SSD(スマートサービスデスク)」バリューゾーンを最大化するためのチケット型の社内課題解決の仕組みだが、それがあるだけで上手く行くわけではない。パターンの発見や、問題の深堀分析をしないと、SSDには意味はない。問題解決とチケットをひたすら処理することは全く異なる。これをキチンと説明しないといくらこなしても意味がない。
「結果を隠すのは悪い結果を開示するよりも好ましくない。」信頼関係のためには、多分そうなんだろう。しかし、最初は悪いことばかりが目に付き、心が折れてしまうのではないかなぁ。360度調査は、改善に繋がる第一歩。汚点としてではなく、成長できる機会と捉えるような文化が必要なんだよね。まぁ。継続してやってみよう。
「ツールそれ自体に、組織へ影響を与えるほどの力など本当にあったのだろうか?そうは思えない。むしろツールが発するメッセージ、その副次的効果のほうがずっと大きかった。」この部分は、なかなか分かってもらえないんだよね。直線的な結果を何よりも気にするから。短期的な結果よりも長期的なそれを築くことができる文化の育成の方がどれだけ難しいことか。ツールはこれらを実現するための触媒でしかないことを。
「私が知りたいのは、彼らが私と私のプロジェクトのために、求められている以上のことをしてくれるかということです。契約にない内容のことでも喜んで知恵を貸してくれるのかどうか、自分の前存在をわれわれの仕事に投入してくれるのかどうかですよ」これが、本当の顧客との関係なんだろう。こんな関係が顧客とできている会社ってどれくらいあるのだろうか。どんな業種でもこんな関係性をみんな求めているのではないだろうか。そのために出来ること。それは、ポチること。うん。あれだ。
「知識経済やサービス経済は複雑を極め、CEO、もしくはCEOの職も含め、企業のいかなる個人や部署もすべての知識を掌握することは不可能である。CEOは実際に知識を持っている従業員が卓越した業務ができるようその支援に励むべきであって、不完全で不正確で、おそらくは古くなった知識に基づいて、自分で意志決定などするべきではない」21世紀のリーダーシップでドラッカーが言っていることと全く同じこと。知識労働者が如何に働きやすい環境を整えるかで生産性は成果物のクオリティーは全く異なってくる。なぜなら、肉体労働者ではないからだ。
これらの命名があるっていうのが面白い、手段に名前を付けることで、みんなが同じイメージを持ちやすいコモンセンスが生まれるんだよね。愛着も湧くし。
- EFCS(Employees First, Customers Second)
- ブループリントミーティング
- 「はい、でも」マネージャー
- U&Iポータル
- アカウンタビリティの逆転
- 360度調査
- バリューゾーン
- ハッピーフィート
- ピラミッドの逆転
- クモからヒトデ
- 踊るCEO
- EPIC調査(employee passion indicative count)
- 変革者(トランスフォーマー)、喪失者(ロストオブソウル)、傍観者(フェンスシッター)
引用
変革の必要性が生まれても、変化したいという意志と実際に変化するという行為との間には、しばしば大きなギャップがる。
バリューゾーンと呼ばれる実際に顧客に価値を創出している現場の人たちを支えていないという点である。知識経済におけるサービス提供会社では、このバリューゾーンはしばしば階層型組織の奥底に埋もれてしまい、最大の価値を創造する人々はその奥底で働いている。
彼らの才能を発揮させる1つの方法は、参加しやすい文化を築くことだろう。従業員をもっと参加させるには、信頼の文化を築かなくてはならず、そのためには、さらなる透明性が必要になる。
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