感想
対象読者:「世の中の変化を感じ、社内に新しい風を呼び込みたいと考えている『異端児』」これに尽きる。2013年ベスト5に入る書籍。
ビッグデータの書籍だと思っていたが、まったく違う。これは、変革のための教科書だ。
変革するために、自分が変わること、チームを変えること、組織を変えること、会社を変えること、日本を変えることが書かれている。
日頃、自分が言っていることが全て書かれている。まぁ考えることはみんな同じってことか。
- リーダーシップのこと
- 文化のこと
- 世の中の速度が上がったこと
- 新興国の脅威
- 縦割りでの作業ではなく、全方位型能力アップ
- 予測不可能な社会に対応すること
- 日本人の和を大事にできる文化がある
- 欧米人が日本の生産性の高さを見直していること
それぞれのメンバーがリーダーシップを発揮するということは、すでにヤフーで実践されていて、自律的に判断し、互いに協調し、連鎖を与え、影響力を与え合う、単一リーダーシップに反する考え方ではない、それをフォロワーシップと呼び、組織を機能させるチームモデルとして存在しているという。7月の組織立ち上げの時に話した内容と一致している。こういうことが実施され結果を題している組織がある。刺激になる。
融合する世界。コモディティ化を武器にすることが出来る。エコシステムの中でパートナーを巻き込み、巻き込まれながら、得意分野で適材適所で力を発揮することが、これからのグローバル社会の役割を担うことができる。奪い合うのではなく、補完しあうことで、インターネットの価値を最大化することができる。
タレントマネジメントという概念はすごく共感した。定型業務中心ではなくなる世の中では、特殊な能力が必要で、既存のルールや規定では彼らの能力を管理・評価する概念が存在しないため、冷や飯を食い続けてきた。
P.258からの融合する世界に求められるリーダーの能力は必読である。自分が実践していることが書かれていたり、悩み前進できないことが同様に世の中でも模索されていることが書かれている。まぁ、何か行動を起こそうとする人達が打ち当たることと、それを打開するChangeの方法論はそう大差ないということなんだろう。でも、ハッキリ文面に書かれることで勇気をもらうことができた。
引用からの感想
■変化
「予測不可能な社会にあって「確実な将来を予測」を行おうとするよりは、臨機応変に変化に対応可能な組織作りを行う方が現実的です。将来予測が可能で変化の速度が緩やかな『安定』した時代には一貫性のある仕組みやシステムが適していました。しかし、将来予測が不可能で変化が激しい時代には、一貫性は変化を妨げる足かせとなります。時に一貫性を欠くとしても、柔軟に対応可能なシステムや新しい組織の形が求められています。」
これはリーンスタートアップやアジャイルで良く言われていることである。また企業変革の経営書でも頻繁に出てくる内容である。早くみんな自分自身で気がついてくれないだろうか。他人を変えることはできない。私にできるのは発信を続けていくことだけだ。
■従業員満足度
「コンプライアンス・社内ルール・法律で社員を縛った結果、縛りつけられた社員たちによって将来のリスクはなるべく避ける「安定を望む組織」が出来上がります。その結果、組織は硬直化し、厳しい解雇規制によって体質を変えようにも思うように進まず、小回りの利く新興国の企業にシェアを奪われています。」
これも従業員満足度の向上を常々思い、発言していることと同じである。これはポッペンディーク夫妻のリーンの3部作から教えてもらったこと。
■それぞれの課題
「今ある組織を変化に対応できる組織に変えるには、経営層が取り組むべき課題と、従業員一人一人が取り組むべき課題の2点での対応が必要です。経営視点では、組織康応や文化に関わるもの、IT基盤の強化が必要になります。従業員視点ではボトムアップアプローチで経営層を説得するための行動が必要になります。」
これも、会社全体で考え、行動していかなくてはいけないということ。他責にしていても何も解決しない。それぞれがそれぞれの立場で思考停止に至らず、考え抜かないといけない。
■何事にもアーリーアダプターとキャズムが存在する
「[ビジョンの]価値を考える時に、万人受けを狙ってはいけません。すべての人のニーズを満たそうとすれば、結局誰のニーズも満たせなくなります。ターゲットを想定し、そのターゲットを満たすニーズや課題にフォーカスして改善に取り組むべきです。」
運動会の手をつないでゴールが頭によぎる。区別をしないということは、新たな差別を生んでしまう。まず熱くフォローしてくれる人達を巻き込みながら引力を強め、徐徐にマジョリティへと伝搬させていくことが私もベターだと思う。
■情熱ということ
「『情熱』+『チーム力』+『技術力』、それを強固なものにする『ビジョン』。これらが揃えば、『組織の枠さえ超えられる』」
『諦めない信念を持つことです。『新しいこと』には困難がつきものです。自分の能力の限界まで学び、想像力を使い果たす位に考え、信念をもって取り組めばやがて人を動かす『情熱』へと変化します。明確なゴールやリターンが見えない手探りの状態での航海には『情熱』が『推進力』になるのです。」
今の自分自身に存在しているものは、この「情熱」だけなのかもしれない。
以下の問いに全てYesと言えるかい?
- このビジョンが世の中に求められているという「信念」を持っている
- このビジョンが必ず成功するという「信念」を持っている
- このビジョンで世の中を変えたいという「情熱」を持っている
- なんとしてもビジョンを実現したいという「情熱」を持っている
「自分が『情熱』を持って打ち込めないものなら、他者を巻き込むに至りません。... 自分ですら夢中になれない『退屈なビジョン』は他者聞いても『退屈』なのです。」
同僚が言っていた、Tシャツを作れるか!、袖を通せるか!、これに尽きる。良いたとえだなぁ。
「『情熱』と『信念』。これほど不思議な言葉はありません。何か困難なことを成し遂げたことのある人には、この2つがどれほど重要かが分かります。しかし、何も成し遂げたことのない人には、単なる精神論にしか聞こえないのです。」
他人事感たっぷりの人から、よく似たような意見を貰う。おもろいねぇ。どこでも同じだ。